2025年3月8日 ほっしー先生インタビュー
e-春風塾では、中高生を対象に情報講座を開講し、より専門的なプログラミング技術や知識を身に付ける場を提供しています。その情報講座で用いていた学習サイト(以下、情報講座サイトと表記)が今年一月、より主体的に楽しんで学びを深められるよう、新たなシステムを取り入れてリニューアル。どのようなアップデートが行われたのか、講師の星出先生(以下、ほっしー先生)にお話を伺ってきました。
―新しい取り組みを始めたとのことですが、具体的にはどのようなことを始められたんですか?
今まで情報講座で使っていたサイトをリニューアルして、HaruCoderという中高生向けの競技プログラミングサイトを立ち上げました。問題一覧から問題を選んで解いて、その難易度に応じてポイントを付与し、ポイントに応じて塾内でランキングを付けるという内容です。問題は解くだけではなく自分で作ることもできて、作ることでもポイントが入ります。

(上画像:生徒と教師が自由に問題を投稿できる)
それぞれで問題を解く以外にも、隔週でコンテストを開催しています。30分でどれだけ問題を解けるか、という形式で、その日その日のパフォーマンスを発揮できる機会にもなっているんです。
今までの情報講座サイトでは表示されたプログラミングの問題を書いて提出することで練習する、という形を採っていたんですが、今回、その次のステップとして、こっちが本番、という形でこのHaruCoderを取り入れました。塾内だけでなく家でも取り組むことができるようになっているので、ハマっている子は家でどんどん進めてくれていますね。 少し プログラミングのやる気が落ちていた子がこれにハマって、夜寝る前に必ず1問解く姿を見るようになったと親御さんからも聞きました。

(上画像:これまでの情報講座サイトはただドリルの問題が並ぶだけだった)
―楽しそうな取り組みですね。この取り組みを始めることになったきっかけは何でしたか?
今までは情報講座サイトを一通り終えると、みんな基礎的なプログラミングテクニックはある状態になるので、最終目標のAtCoderに進んでもらっていたんですが、AtCoderがやっぱりものすごく難しいんですね。AtCoder自体が大人や情報科の大学生とかをターゲットにしているので…。中学生でそれを純粋に楽しむのはまだ少し難しいなと感じていたところがあったんです。
でも、テイストはAtCoderっぽいものが良いなと思っていて。ゲームテイストだったり画面が派手だったりするのではなく、ちゃんとプログラミングの問題に向き合って解くのが楽しい、と感じられるような環境は取り入れたかったんです。けれどAtCoderにはちょうど良い難易度の問題がない、というところで、その穴埋めのようなサイトが作りたいなと思って、問題に向き合って解けるという形式はそのままに、難易度を調整して中高生でも解けるように整備したHaruCoderを用意しました。ただAtCoderは自分で問題を作ることは出来ないので、その点でHaruCoderは、より塾らしい感じも取り入れた形式になっていると思います。
―実際に取り入れてみて、どう感じていますか?
情報講座サイトだけだった時よりもハマる生徒さんが多い気がします。情報講座サイトをやりながらでも出来るようになった問題から解いてみて、また情報講座サイトに戻って、という進め方が出来るのも良いところかなと。中高生向けの講座ではありますが小学生でも解ける子がいたりして、難易度的にも、プログラミングを始めたばかりの子でも解けるような簡単な問題から、専門的な技術が要る難しいものまで、グラデーションにして上手く幅を利かせられているなと思いますね。
今年の一月中旬ごろから導入したんですが、今ある問題の8~9割は生徒さんが作ったものなんです。意外と皆、問題作るんだ!というのは発見でしたね。ランキング形式にすることで生徒さん同士が自ら競い合いながら取り組んでくれていて、夜に確認すると問題も増えているし、ランキングも変動していたりします。僕たち講師が何も言わなくても、生徒さんが自分から進んで問題を解いたり作ったりしてくれるサイクルが出来ていて、凄く良いなと思っています。 中学生でプログラミングやってる子ってまだまだ少ないので、塾に行けばもちろん仲間がいるんですけど、日頃の生活でも仲間と競い会えたり、問題の作成とクリアを通して交流できたりするイメージで作ったので。

(上画像: 教師と生徒が区別されずに並ぶランキング。この時点の1位2位は生徒です笑)
―この取り組みに対して、今後期待していることはありますか?
楽しくコードを書くという経験自体が貴重な物だと思うので、そのきっかけ作りに貢献できたら良いなと思いますね。今、「プログラミング」というと、ブロックコードには学校の授業でも触れる機会がありますし、やってみたいという子も多いんですが、その先に進みたいという子はあんまり出て来なくて。そもそも小さい子供がコードに触れるという機会自体が少ないというのが原因だと思うので、そこにアプローチしたいです。塾内でも、中高生が問題に取り組んでいたり、それで解けた時に喜んだりしているのを、小学生が見ることができたら、凄く良い風景だし刺激になるなと思います。
あとは、このシステム自体が汎用性が高いので、地域大会をHaruCoderベースで開催してみたいですね。学校教育とも相性が良さそうだなと感じているので、最終的に授業で取り入れてもらえたら最高だなと思います。
プログラミングというとどうしてもゲーム開発のイメージと結びつきがちなんですが、競技プログラミングという形もあるよ、というのを、HaruCoderを通して押し出して伝えていきたいです。プログラミングって聞いた時に、「あ、HaruCoderのやつね!」と認識が結びついたら嬉しいな。
―今後、このHaruCoderを使った取り組みとして、e-春風塾で予定している企画などはありますか?
この春から、HaruCoderを使って、中高生をターゲットにした競技プログラミングの体験会をやろうかなと考えています。競技プログラミングの知名度をどんどん上げていきたいという目標があるので、体験会だけではなくて様々なイベントで発信していけたらなと。最近では情報科目が共通テストにも導入されましたが、そういった科目で扱う内容は競技プログラミングの問題とすごく親和性が高いので、中高生への直接的なアプローチをしていきたいですね。
高校生になったら塾はちょっと…って考える子も多いんですけど、HaruCoder自体は塾をやめても続けられるし、続けてほしいなと思っているので、長く取り組めるものとして学びを活性化していけたら嬉しいです。
―色々な可能性がありそうですね。この取り組みの今後についても、注目していきたいところです。ほっしー先生、ありがとうございました!
取材&記事制作 ゆずか記者(保坂柚花 九州大学文学部2年)