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コードアドベンチャーイベントレポート記事

 2024年11月9日、糸島運動公園にて、プログラミング的思考を使った謎解き企画「コードアドベンチャージャパンツアー2024 逆襲のドッカーン博士 糸島公演」が開催されました。本イベントでは大人気YouTuberであるゴラクバ!さんをゲストに迎え、プログラミングの知識とCOCOARという最新技術を使ったアプリを駆使して謎を解き、ドッカーン博士の爆破計画を阻止することをコンセプトに開催されました。イベントは14時公演と16時半公演の計2回。どちらもたくさんの方が参加しており、用意された席はほとんど埋まっていました。今回はそのイベントの様子をリポートしていきます。

イベントの目的

イベントが始まると、早速ゲストが登場。大人気Youtuberでありコードアドベンチャーの宣伝部長でもある、ぺんとさんを迎え入れ、会場は一気に盛り上がりました。ぺんとさんの紹介を交えながら、コードアドベンチャーが目指すプログラミング教育についてのお話からイベントはスタート。

コードアドベンチャーグループでは、子供たちの論理的思考能力・プログラミング的思考能力を育むことを目的に、普段は各教室でプログラミング教育を行っています。その中で一年に一回は現地で子供たちと直接交流したいという思いから、ジャパンツアーを開催しているとのこと。また、保護者の皆様からも、「プログラミングを学ぶとどんなメリットがあるのか?」という疑問の声が多く上がるそう。そんな疑問へのアンサーとして、少しずつ情報を発信することも目指しています。その一環として、今年は「最新技術とプログラミング教育の未来」をテーマに、本イベントが考案されました。現在のIT技術の最先端や最新技術を知って実際に触れながら、楽しくプログラミング的思考を鍛えるのが今回の目標です。

 その最新技術というのが、ぺんとさんが開発したという「ページェント」。なんでも最近、ぺんとさんがプログラミングエンタメ研究所、通称PENTIの所長に就任したそう。ページェントとはそのPENTIで開発された、プログラミングの指示に従って動く高性能ペンギン型ロボットです。宇宙にあるPENTIのコントロールセンターから電波を送り、全国のページェントを遠隔操作することができるのだとか。今回のイベントでは、そのページェントの試作機を動かすことが出来るそうです。なんだかPENTIの見た目がMINECRAFTで使えるブロックにそっくりなのですが……ぺんとさんいわく、「いやいや全然マイクラ関係ないですからね!?」とのことでした(笑)。

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プログラマーの最前線

ページェントの試作機を動かす前に、話題を少し戻して、現在最前線で活躍しているプログラマーのお話を聞けることに。そのプログラマーとは、コードアドベンチャーの動画教材を作成されている、ゴラクバ!のいぬたぬきさん。いぬたぬきさんは動画教材を作りながら、Web3という新しいインターネット技術を使ったサービスの開発に挑戦されています。具体的には、誰もが気軽にデジタルグッズを作って販売できるアプリを開発しているとのこと。今後仮想世界でのモノのやり取りが盛んになると予想される中、現実世界における経済を、仮想世界でも再現することを目指しています。

 インタビューでは、いぬたぬきさんが所属するトビラトリ―の事業内容や、そのチャレンジの中で大変なこと、これからの子供たちに身に付けてほしい力などについてお話されていました。特に印象強かったのは、「自分がやりたいことを言語化できるかが重要」という言葉。いぬたぬきさんが関わる開発においても、プログラムに落とし込む上で、実現したい形を具体的に、明確に書き出す力が必要になります。「曖昧ではだめ」と、はっきり述べられていました。そしてこの「言語化」のスキルは、プログラミング的思考に非常に似ているのだと言います。開発の仕事では、自分がやりたいことがまずあって、それを実現するための論理的で想像力に富んだ思考能力を駆使していくことが必要になります。その力を、ぜひ小学生のこのタイミングで獲得し、伸ばしていってほしいとのことでした。

問題発生!

 いぬたぬきさんのお話も終わり、いよいよ試作機を動かそう!というところで、何やら通信妨害が入ったイベント会場。送り付けられてきた動画を開くと、そこには昨年のコードアドベンチャージャパンツアーで懲らしめたはずのドッカーン博士の姿が…!どうやらページェントに一斉命令できるPENTIのシステムを利用し、日本全国に設置した爆弾を一気に爆発させることを企んでいる様子。企みを阻止するため、いよいよ謎解きが始まります。

 今回の謎解きは、シールを使って、PENTIのコントロール室の真下にいるページェントを動かすプログラムを作成し、COCOARというアプリで読み取って操作するというもの。まず一階にいるページェントを二階の階段まで誘導し、階段のパスワードを入手。その後、再びプログラムを作成してページェントをコントロール室まで操作して、爆弾を解除するための方法を見つけ出します。ただしマップには柱や爆弾により通れないエリアがあり、一筋縄では目的地に辿り着けません。柱や爆弾による危険エリアがどこかを割り出すため、会場中に置かれたヒントのパネルを使って問題を解き、マップを完成させる必要があります。プログラミングの技術と、論理的な思考の両方が必要となる、まさにコードアドベンチャーならではの謎解き。子供たちのやる気は十分!制限時間60分で、爆弾の解除を目指します。

いよいよ謎解きスタート!

 いよいよメインイベントスタート!子供たちが一斉に、会場後方に数カ所配置されたパネルに向かっていきます。パネルの前に座り込んだり、机を囲んで取り組んだりと様々でしたが、各々が積極的に、真剣に問題に向き合う様子が見られました。第1部も第2部も、真っ先にヒントのほうへ向かってくるのは子供たち。今回、ほぼ全ての参加者が親子連れだったのにも関わらず、保護者の方に連れられて来る子はほとんどおらず、子供たちが自分から、意欲的に謎に向き合っていました。「言われたからやる」のではなく、「やりたい」という気持ちに突き動かされているのだということがひしひしと伝わってきます。

 分からないところがあれば自分から手を挙げたり、近くのスタッフに声を掛けたりしていましたが、漠然と「分からない」ではなく、「何がどう分からないのか」「自分はどう考えているのか」を明確に言葉にして聞いている姿がよく見られました。これこそまさに、いぬたぬきさんがインタビューでお話されていた「言語化する力」。コードアドベンチャー生の中に、その力の萌芽が確かに芽生えていることが分かります。また、質問をするときに躊躇ったりせず、自分の意見をはっきりと言っていたのも印象的でした。論理的思考能力を育むと共に、その思考を他者と共有することで、自主性の育成にも繋がっているではないかと感じます。スタッフの方もとても親身で、分かりやすく教えてくれていました。

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 何より印象的だったのは、「分かった!」という声と共に見られた笑顔!自分の力で謎を解き、プログラムを完成させたという達成感は、何にも代えがたい貴重な経験になったことでしょう。解き切れなかった子も時間いっぱいぎりぎりまで諦めずに取り組んでいて、楽しそうな声が絶えることがありませんでした。保護者の方も一緒になって謎解きに取り組んでいて、子供から大人まで、時間いっぱい楽しめるイベントでした。

60分の制限時間はあっという間に過ぎていき、答え合わせへ。参加者の皆さんの尽力の結果、会場も日本も爆発の危機から守られ、ドッカーン博士も懲らしめることが出来ました。謎解きを解いて爆弾の解除方法を導き出せた人は、第1部、第2部合わせて参加者の半分以上!答えにたどり着けなかった人も、最後の最後の1秒まで粘って取り組んでいて、とても素晴らしかったです。帰り際は友達と感想を言い合ったり、保護者の方に嬉しそうに報告したりと、笑顔に満ち溢れていました。「もっと難しくてもできたかも」と意気込むような声も。大成功のうちに、イベントは幕を閉じました。

取材&記事制作 ゆずか記者(保坂柚花 九州大学文学部2年*)*肩書は当時

(取材日2024.11.9)

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