e-春風塾

高専生活体験記 開催レポート「プログラムは情報の入り口」

 2024年6月、前原にあるオープンコミュニティースペース「みんなの」にて、在籍する中高生の塾生と保護者を対象に、高専生活体験記&上級プログラム説明会が行われました。本イベントでは、大島商船高専の卒業生であるほっしー先生とべーやん先生による高専の紹介と、当時の生活についてのお話を聞くほか、e-春風塾における中高生向けの高等プログラムについての説明がありました。今回はその前半の「高専生活体験記」の様子についてレポートします。

 

先生方が通っていたのは大島商船高等専門学校の情報工学科。ここではプログラミングを始めとした情報分野の様々な知識について学ぶことを主とし、データベースやメディアについての学習も行われています。情報分野とは機械がどのように動いているか、情報をどのように表現するかといった内容を扱う分野のことで、プログラミングはその分野の氷山の一角にすぎませんが、学習において入り口としての働きを果たしているそうです。

 授業では理系科目が多く、国語や歴史と言った文系科目は比較的少なく設定されています。特に数学には力を入れていて、2年生の時点で高校数学をほとんど履修し、その後は大学で扱うような応用数学も学ぶことができます。専門科目を1年生から学ぶことが出来るのも大きな特徴の一つ。入学後すぐから、プログラミングの実践も始まるそうです。専門科目の授業の多くは前半に先生が前に立って講義を行い、後半ではそれを受けて実際にプログラミングを書いてみる、といった実践を行います。とにかく実際に手を動かして物を作っていく、というのが、高専の大きな特色です。

 卒業には卒業研究が必要で、自分が所属した研究室の専門分野に沿ってテーマを設定し、4年生の後半から5年生の間にかけて研究室の先生のもとで研究を進めていきます。5年生の後期でそれまで研究してきたことを論文にまとめ、学会で発表して合格すれば晴れて卒業!という運びになります。優秀な学生は外部の研究機関に投稿して表彰されたり、論文誌に投稿されたりすることもあるのだとか。高専生活後半はまさに大学の研究室のような雰囲気が感じられます。

 べーやん先生とほっしー先生が当時所属していたコンピューター部の活動についてのお話も聞くことが出来ました。大島商船高専のコンピューター部は顧問の先生が生徒を先導し、その日の活動を決めていく……のではなく、生徒が主体となって各々が好きなことをやる、という雰囲気だったそう。それぞれがパソコンに向かって好きなようにプログラムを書きながら、遊んでいるような感覚でありつつ自分の将来の為にもなっていて、すぐ隣には同じ分野に興味を持っている仲間がいる。そんな環境が整った部活動で、当時の雰囲気はこのe-春風塾が目指している風景にもなっているということでした。

 先生方のコンピューター部は全国高専プログラミングコンテストにも出場していました。このコンテストではゲームAIを作る競技部門と、モノ作りをしてプレゼン・デモンストレーションを行う自由部門・課題部門があります。ほっしー先生は課題部門で、べーやん先生は自由部門で特別賞を受賞されたそうです。

 高専時代を振り返って、やらされてやるよりも「やりたい」という思いで自主性を持って動く方が楽しいし、実力が伸びる速さも速いと感じられたそうです。当然それに伴う責任は大きいですが、自分が何をしている時が楽しいのかを考えること、そしてその楽しい時間を共有できる友人や仲間を持つことが重要だとのこと。さらに、人生は何があるか分からないし、色んな生き方がある。その様々な可能性の土台の一つとして、今春風塾に通っている生徒の皆さんに、プログラミングを好きになってもらいたい、と締めくくられました。

取材&記事制作 ゆずか記者(保坂柚花 九州大学文学部2年)

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