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【高専レポシリーズ③】新見先生「高専はやりたいことに打ち込める場所」

春風塾内で高専進学への興味が高まっている中、皆さんに「高専ってどんなところ?」ということを知ってもらうべく、実際に高専を卒業された3人の先生がたのお話を聞いていく高専レポシリーズ。いよいよ最終回となる今回は、去年卒業されたばかりの学生講師、新見羽琉(にいみはる)先生にお話を聞いて来ました!

他2人の先生がたにお話を聞いた記事はこちらから♪↓

【べーやん先生】

【ほっしー先生】

 新見先生は、今年3月に愛知県の豊田工業高等専門学校を卒業。4月からは九州大学工学部に編入し、現在は大学三年生。Webサイト開発などIT系の技術を専門に学びながら、e-春風塾の学生講師も務めています。

―高専を目指したきっかけは何だったんですか?

「中学生の時に遊びに行った科学館で、偶然、ロボカップというイベントが開催されていたんです。AIを使ってロボットを自動で動かして、サッカーゲームをさせよう!というデモの展示企画でした。それを見て、僕もこんなことやってみたい!と思ったのがきっかけですね。もともと物を作るのが好きだったのもあって、高専を目指すようになりました」

―偶然だったというのはすごいめぐり合わせですね!実際に入ってみて、最初の印象はどうでしたか?

「授業は今思えば大学に近い感じだったなと思います。大学受験がない分、やらないといけないカリキュラムがあるわけではなかったので、、特に文系科目は先生の専門分野の話をとにかく時間かけて聞くという感じでした。僕は中学の頃、国語というと暗記科目のイメージが強かったし、文章題で『この時の気持ちを考えよ』と言われても分からないし、全く楽しくなかったんです。でも高専の授業を受けて、『国語にも論理的な考え方があるんだ』って知って、初めて国語の授業が楽しいと思えました。好きな分野のことに特化して喋ってくれる先生が多かったので、聞いていて面白かったです」

―普通の高校では習うべき内容も決まっているので、なかなかそうした教え方はできないと思います。高校生の時点で専門的な授業を受けられるのは羨ましいです。

「そうですね。逆に数学はレベルの高いことを習うので、すごく難しかったです。僕の通っていた高専には電気数学っていう伝説の科目があるんですけど、初見の問題を解いて、点数が悪かったら放課後補習を受けないといけなくて(笑)。当然皆知らない内容だから、クラスのほとんどが補習を受けていました。友達と一緒に頭抱えて取り組みましたね。でもあれがあったからこそ、一般的な数学はもちろん、より専門的な分野での数学の使い方も分かるようになりました。レベルの高い内容をじっくり丁寧に教えてもらえたので、力がついたなと思います」

画像:(豊田高専お知らせページより)

―部活動は何かしていましたか?印象に残っていることがあれば教えてください。

「1年生から3年生までは高専ロボコンに出場するために活動していて、引退してからはロボカップの大会に出ていました。5年生の時に出場したロボカップの大会で、世界大会準優勝の経験があるチームに勝った時は、泣くくらい嬉しかったです。世界に対等に渡り合えるロボットを作れたんだな、と思って感動しました」

―すごいですね!開発の過程で、特に苦労したことはありますか?

「僕はロボットの中の回路を作るのを担当していたんですが、使っている部品が違う物だったり、はんだ付けが甘かったり、設計した通りに動いてくれないことが多くて大変でしたね。一つ解決したら次の不調が出たりして、原因を探すのにも苦労しました。でもそのおかげで、上手く動かない時にどこがおかしいのか、どうしたら解決できるかを考える力、問題解決能力はすごく鍛えられたなと思います」

―高専に通っていたからこそ得られた経験ですね。卒業研究では何をテーマに研究をしていましたか?

「ロボットがフィールド上のどの位置にいるかを、より分かりやすくする部品の開発に取り組みました。ロボカップではロボットの天面に色紙を貼って、それをカメラで追うことで位置を把握しているんですが、例えば会場が暗くなると色が変わって見えたり、そもそも見えなくなったりする問題があったんです。それを解決するために、紙ではなくLEDライトを使って位置を認識させる機構を開発しました」

―かなり実用的な開発では!?特に苦労したところは何でしたか?

「カメラに認識させるために、LEDの光を丸い枠の中に収める必要があったんですが、それがまず難しかったです。単純にLEDを沢山集めて丸い形を作っても良かったんですが、それだと高価になってしまって、アイデアとしてはあまり良くなくて。結果的に、3Dプリンタですりガラスのようなものを作って、光を広げることで解決しました。あとは、自分にとって新しい技術を使わないといけなかったのには苦労しましたね。ロボットの中で動いている管理システムがあるんですが、研究の過程でどうしても習得しないといけなくて。新しい技術を自分のものにして、かつ卒研に落とし込むのは大変でした」

―聞いているだけでも難しそうです…。でも、そうしたレベルの高い経験をできたからこそ、そこで得られた知識や技術、課題解決能力は、今でも生かせる場面が多いのではないでしょうか?

「そうですね。今は九州大学に進学して電気関係の勉強をしていますが、講義で扱う内容の多くはすでに高専の授業で習っている内容なので、そこは周りと比べてかなりアドバンテージがあるなと思います。大学では1年間で習う内容を、高専で3年くらいかけて丁寧に教えてもらえていたのはすごく良かったです。高専のうちに大卒レベルの技術力を身に着けられるというのは大きな魅力だと思いますね」

―普通科の高校ではなかなかそこまでのレベルの内容は扱えないですからね。他に、何か今の勉強や研究に繋がっているなと感じるスキルなどはありますか?

「実験レポートの書き方は高専時代の経験が生きているなと思いますね。実験レポートは書いてある内容を自分の言葉で説明できないといけないんですが、実際これがかなり難しくて。僕は高専時代に厳しく指導されていたので、論理的に説明できることを書くスキルというのはものすごく鍛えられました。5年分、他の人よりもアドバンテージがあるのは強みだなと思います」

―逆に、何かやっておけば良かったなと思うことはありますか?
「高専は自分のやりたいことを深く追求できる反面、狭いコミュニティでしか活動しないので、専門分野やその周辺に関わることしか分からなくなりがちなんですよね。その点で、もっと色んなこと、特に文化的なことにたくさん触れておけば良かったなとは思います。なので、今は意識的に本を読んだり、博物館や美術館に行ったりするようにしていますね。行って作品を見てもよく分からないことが多いんですけど(笑)。それでも、分からないけど何かしら刺激を受ける、というのが大事かなと」

―幅広い分野の知識に触れるという面では、どちらかというと普通の高校の方が長けているかもしれませんね。そういう意味でも高専は特殊な環境だと思いますが、新見先生は高専に進学して良かったですか?


「僕は高専で良かったです!高専は自由な場所ですし、自分がやりたいことに打ち込んだり、興味があることを丁寧に勉強したりできる環境が整っています。僕はロボコンやロボカップに熱中していましたが、芸術に興味を持っていた人もいれば、軽音に打ち込んでいた人もいました。特殊な場所ではあるけれど、その分、他でできない経験ができるのは大きな魅力だなと思います」

―最後に、高専を目指す生徒さんに向けて、メッセージをお願いします!
「高専はとにかくやりたいことに使える時間が多いです。そのための設備が整っているので、本物に触れる機会も沢山あります。興味のあることが明確に決まっている人にはぜひ高専に行ってほしいなと思っています。おすすめです!」

―新見先生、ありがとうございました!

 3回にわたり、高専を卒業した先生がたにお話を聞いて来ました!興味のあることに熱中できる環境が整っているほか、それを支えてくれるレベル高い経験が沢山待っているというのは、普通の高校出身の私から見てもかなり魅力的と感じます。その反面かなり狭い知識世界に身を置くことになるので、これから広い世界を見てやりたいことを探してみたいという人は、一般的な高校で自分の興味を模索して、大学に行ってからその知見を深めてみるのも良いかもしれません。

 この記事が、皆さんのこれからの進路選択において、少しでも参考になったら嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

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